ジャック・ベンベニスト博士 《後編》 −“転写実験”による“波動水”の効果の科学的証明− 今回はジャック・ベンベニスト博士の実験に関する3回分の連続記事の最終編として、“転写実験”についての解説を行います。 “高度希釈実験”の結果を記載した、1988年にネイチャーで発表された論文に対して、多くの批判や非難中傷を受けたベンベニスト博士は、フランスのパリ郊外にある国立保健医学研究所内の研究室環境を追われながらも、独自の研究体制を整えていき、1990年代以降には、ある意味1988年の論文よりもさらに驚くべき内容の実験結果を報告しています。 それは“転写実験”と呼ばれる実験であり、電磁気的な装置によって情報を転写した、いわゆる“波動水”が、実際に生物学的効果を持っている、ということを科学的に示す画期的な実験結果でした。 ベンベニスト博士が初めて“転写実験”に成功したのは1992年のことであり、“ランゲンドルフ灌流モデル”と呼ばれる単離モルモット心臓を使った実験系においてでした。その後、博士は、ヒトの白血球の一種である好塩基球や好中球などのさまざまな実験系を使って“転写実験”を繰り返していますが、ここではヒトの試験管内血液凝固系を使った実験結果について解説していきます。 試験管内血液凝固実験系 よく知られているように、外傷などによって身体から流れ出た血液は、数分間のうちに自然に凝固します。ですが、輸血用の血液が保存中に凝固してしまっては役に立たないので、血液が凝固しないようにする方法がいくつかあります。その一つがキレート剤と呼ばれる試薬を使って、血液中のカルシウムを除去する方法です。 カルシウムを除去した血液は凝固せずに、そのまま液体の状態で存在し続けます。そこにカルシウムを含む水を添加しますと、血液凝固のプロセスが進行し始めます。 さて、ヘパリンという生体物質はこの血液凝固を阻害することが知られています。一方、プロタミンという生体物質は、このヘパリンが持っている血液凝固作用を抑制することが知られています。すなわち、ヘパリンに加えてプロタミンが存在すると、血液が凝固していくのです。 これらの事柄はすべて医学においてよく知られていることであり、血液を採取して試験管の中に入れた状態でもまったく同様の現象が起こります。 全自動ロボットを用いた“転写実験” ベンベニスト博士は、この血液凝固に関する試験管内実験系を使って、以下の驚くべき実験を行いました。 まずヘパリンとプロタミンの水溶液を用意します。水溶液の回りに“録音用”コイルを設置し、電気的な増幅装置を接続して、水に溶解した物質が発する(と考えられる)電磁波情報を、デジタル電気信号として取り出して“録音”します。“録音”されたヘパリンやプロタミンの情報は、コンピュータのハードディスク上に“音声ファイル”として保存されます。 これ以降の実験操作は、人の意識が干渉しないようにすべて全自動ロボットによって行われます。このロボットのアームは前後・左右・上下の3方向に自由に移動することができ、アームに取り付けられた自動ピペットの働きで、一つのチューブ(小さなプラスティックの試験管)から一定量の試薬を採取して、別のチューブに分注して攪拌したりすることができます(図1)。
自動操作のアームが、ラックに並べられたプラスティック・チューブの中に、一定量の試薬を分注しているところ。アームの背後に見える円柱状のものが“再生用”コイル、向かって左端には血液凝固反応の進行を定量的に測定する分光光度計が見える。 この装置を使って、カルシウム水溶液が入ったチューブを“再生用”コイルの中に静置します。コンピュータの“音声ファイル”として記録されたヘパリンやプロタミンの情報がコイルを通して自動的に“再生”され、水に情報が転写されます。 あらかじめカルシウムを除去して凝固反応が進行しないように調整されたヒトの血漿成分(血液の上澄み成分)に対して、(1)何も情報を与えていないカルシウム水溶液を添加したもの、(2)“再生用”コイルを使ってヘパリンの電磁波情報のみを転写したカルシウム水溶液を添加したもの、(3)ヘパリンとプロタミンの両方の情報を転写したカルシウム水溶液を添加したもののそれぞれが、全自動ロボットの働きによって添加されていきます。 血漿が凝固していくと溶液が濁りますが、その濁りの程度が分光光度計によって自動的に測定されていきます。そして測定結果は自動的にコンピュータに記録されていきます。 図2に典型的な実験結果を示します。情報の転写されていない単なるカルシウム水溶液を使った対照実験の場合には、添加されたカルシウムの働きで凝固反応が開始し、約20分で凝固反応が終了します。一方、ヘパリンの情報を転写したカルシウム水溶液の場合には、凝固反応が著しく阻害されていることが分かります。ヘパリンとプロタミンの両方の情報を転写したカルシウム水溶液の場合には、ヘパリンの血液凝固阻害作用が打ち消されます。対照実験と比べると、数分間、反応の進行が遅れるようですが、約25分後には対照実験と同様に、完全に血液が凝固することが分かります。
“デジタル生物学”の提唱 これは誠に驚くべき実験結果であり、「水は直接物質に触れなくても、物質の波動情報を含んだ電磁波を“受信”することによって、その物質の情報を記憶することができる」「水は記憶した情報を“送信”することによって、外界に影響を及ぼすことができる」ということを示しています。 この実験結果に基づいて、「物質と物質との間には直接の接触がなくても、水が仲介することによって物質が持っている波動が互いに影響を及ぼしあい、物質は遠隔的に相互作用することができる」と博士は考えています。 一方、現代の生物学・医学・薬学においては、「物質は相手の物質との間に物理的な接触があって初めて、その作用を相手に伝えることができる」とされており、この考え方は “鍵と鍵穴仮説”とも呼ばれています。 ベンベニスト博士が、“転写実験”で証明したことは、“鍵と鍵穴仮説”が間違いである、ということです。“鍵”は、“鍵穴”に物理的に差し込まれなくても、遠くからでも“鍵穴”に影響を及ぼして、“扉”を開けることができるのです。 そして、“鍵”の情報が“鍵穴”に伝わる時の媒介として、水が決定的に重要な役割を果たしている、ということなのです。 これこそが、現代科学一般においてパラダイム・シフトを引き起こす可能性を秘めているベンベニスト博士の作業仮説です。これらの新しい概念を総括して、ベンベニスト博士は“デジタル生物学”というものを提唱しています。
“転写実験”にまつわるエピソード 全自動ロボットを使った転写実験にまつわる一つのエピソードがあります。ベンベニスト博士は、時として転写実験がうまく行かなくなることに気がつきました。その時の実験条件について徹底的に吟味した結果、一つの仮説が浮かび上がりました。 それは、ある女性研究者が実験に関わっていると実験が失敗するが、その女性が関わっていないと実験は成功する、ということでした。もちろん、その女性が悪意を持っているわけではなくて、本人の意志とは無関係に、彼女が実験に関わると実験が失敗するということでした。 この仮説を証明するために、ベンベニスト博士は、この女性にホメオパシーのレメディを握ってもらうことにしました。するとたったの五分間で、レメディの効力が完全に失われることが分かりました。 その仕組みについては、まだまだ解明されていませんが、水に含まれている情報を完全に消去してしまう特殊な波動的性質を備えた人間がいる、ということが分かったのです。こうした性質を持っている人は、“周波数撹乱者”と呼ばれています。 もう一つ、逆の方向のエピソードがあります。“周波数撹乱者”からの影響を排除するために、装置全体に対して外部からの電磁波から守るシールドを設置したところ、またまた実験がうまく行かなくなってしまったのです。 これはマイナスの影響というよりも、何らかのプラスの影響が排除されてしまったためではないかと考えられました。 そこでベンベニスト博士はシールドを開けて、長年にわたって研究室の責任者を務めている一人の男性に実験装置の前に立ってもらうように指示しました。すると実験が再び成功するようになったのです。 しかしながら、この人物にいつも実験に立ち会ってもらうのも大変なので、何か他に方法がないかと考えたベンベニスト博士は、水を使って以下のことを試みました。 すなわち、この男性のポケットに水の入った試験管を二時間ほど入れておきます。この男性のエネルギーが込められた試験管を装置に取り付けて、その後に装置全体にシールドを設置しました。すると、装置のそばにこの男性がいなくても、実験は毎回成功するようになったのです。 ベンベニスト博士の業績 ベンベニスト博士は、二重盲検法を含む実験を何百回となく繰り返して、“高度希釈実験”と“転写実験”のいずれにおいても、その結果が陽性であること(これらの現象が実際に起きていること)を示してきています。 残念ながらベンベニスト博士は2004年に心臓病で亡くなられました。享年69歳でした。そして、現時点においてさえも、大多数の科学者たちの間では、ベンベニスト博士の業績は認められていませんが、筆者は遅かれ早かれ、その趨勢は逆転するであろう、と考えています。 それがいつになるのか、またどういう形で状況が変化していくのか、予測することは難しいですが、真実は必ず明らかになることでしょう。 【参考文献】
|